日本移植者協議会2004年活動詳細

尾辻秀久厚生労働大臣へ要望書提出

臓器移植患者団体連絡会は、2004年10月15日(金)午後1時30分から3時、 厚生労働省1階共用第4会議室において厚生労働大臣宛ての要望書を提出し、担当部署と 折衝を行いました。
→要望書を見る(.pdfファイル 13.1KB)

臓移連出席者:大久保通方・栗原紘隆・福岡靖人・竹内公一

折衝結果報告
今回、特に強調して要望したことは、また2年後見直される、診療報酬における各移植の医療 費及び保険適用の問題です。
脳死下での移植においては、心臓、肝臓が高度先進医療、肺、すい臓は、その適用もないと いった問題があり、肺と膵臓や最近行われるようになってきた心停止後の膵島移植にも速やか に高度先進医療を適用するように、また生体肺移植には保険適用するように求めました。
薬剤の保険適用と認可についても、例年要求しているように、B型肝炎再発予防のための ヘプスプリンの保険適用を強く訴えました。
また膵島移植のために使われ、心臓移植でも渡航移植者の一部で使われているサーティカンの 認可についてもお願いいしました。
その他にも、免疫抑制剤は臓器によって保険が適用されていないものが多く、これらについて も速やかに保険適用するよう求めました。
医療補助のない肝臓移植者では、薬剤の費用負担が大きく、免疫抑制剤の薬価引き下げも要望 しました。
今年の薬価引き下げでは、ネオーラルが9%に対し、プログラフは2%の引き下げにとどまり ました。肝移植者の多くは、プログラフを使用していることから再来年には薬価引き下げを 必ず実現するよう、これからも運動していきます。
他の項目としては、健康保険カードに意思表示欄を設ける件は、すでに発行し終えた政府管掌保険では、29億円もかかるため今後の再発行もまた、意思表示シールの配付も考えていないことを担当官が表明し、相も変わらない無関心、非協力的態度に終始しました。法律等で明記されることがあれば、考慮するとのことでした。 年金については、一昨年より新たに設けられたその他の項目の臓器移植者に関する「総合的に 判断する」などの新しい基準を周知徹底するようにお願いしました。
また臓器移植者の見直しについては、3年間無条件で支給して欲しいと要求しました。
回答として、今後も判断基準に対する規定を周知徹底することと1年間は、無条件で支給し、 その後は状況を見て判断するが、合併症などがある場合は、観察期間として一律に停止しない 旨発言があった。そのような事例が発生した場合は、社会保険庁の担当までお知らせいただ ければ対処いたしますとのことでした。
全臓器移植者に対する内部障害者への適用も例年通り要望しましたが他の疾患との関係もあり かなり難しいと感じました。
今後の障害者の医療費負担に関しては、10月12日に社会保障審議会障害者部会において 障害保健福祉施策についてグランドデザイン案が示されました。その中で今後の医療費給付に ついて (1) 経済的理由から、十分な治療を受けず障害が固定化する恐れのあるグループ
(2) 重度で継続的に医療費負担が毎月発生し、家計に対して大きな影響を与えるグループ
以上のグループについては、継続する。
(3) 一定所得以上のものについては、医療保険による対応とすることとし、給付の対象外
(4) その他の者については、これまでの給付の実績を踏まえ、受診開始から言っていき間 給付の対象
注:医療費の大きさにより実際に給付されない場合あり
以上のように示されました。このように今後は、一律的な給付はなくまず所得による選別が なされることと思われます。但し(2)に臓器移植者が認められれば、広く給付を受けること も可能と思われます。今後は、この議論の推移を見守りながら、積極的に発言していくことが 必要です。

臓器移植対策室との話し合いでは、要求項目が例年通りであり、こちらの要求を読み上げるに とどまり、新たな成果に結びつく様な発言は、ありませんでした。新しいこととして、来年は 中止していた公共広告機構をつかったPRを行うための予算要求をしたことです。
臓器移植対策室とは、定期的に情報交換と話し合いを行っていますが、今回も法案や臓器移植 の現状について情報と意見交換を行いました。
折衝終了後、厚生労働省記者クラブにて担当記者に保険適用や医療費の問題について、移植者 の現状も踏まえ約1時間にわたり詳しく説明しました。


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