日本移植者協議会2005年活動報告
「あなたの“素晴らしきもの”ってなんですか」
「素晴らしき贈りもの」「素晴らしき預かりもの」
当協議会と全国骨髄バンク推進連絡協議会の両NPOが初めてジョイントしイベントを行ないました。
今まで臓器移植に関わる私たちと骨髄に関わる人たちとの接点はほとんどありませんでした。僅かに全国移植者スポーツ大会や世界移植者スポーツ大会に骨髄移植を受けた人が数人参加する程度です。しかし同じ移植医療に関わり、そしてドナーを必要し、免疫抑制剤を飲まなければならないことも共通しています。
今までは、個別の活動を行ってきましたが、ともに社会全般に対し正確な情報や理解の促進など十分に浸透していないと感じていました。
今年、東京で全国移植者スポーツ大会を開催することになり、昨年同様に関連のベントとしてフォーラムやギフト・オブ・ライフ作品展を企画する中で、今年は、臓器移植法の改正やノバルティスファーマ社のシクロスポリン20周年などに当たることが分かり、これお機会に骨髄の方たちとも組んでやってはと考え、全国骨髄バンク推進連絡協議会に声をかけました。すると今年は、骨髄バンク設立15周年ということでグッドタイミングとなり、20年以上に亙り世界で移植医療普及に貢献してきたノバルティスファーマ社の特別協賛をいただき実施することになりました。
私たちは、共に「移植医療」という分野で、いのちは大切なもの、素晴らしいものだという理念のもと、それが受け継がれる現場に立ち会い続けてきたという意味では共通の思いがあり、これを一般の方々に伝え、移植医療を身近な問題として考えてもらえることを願ってイベントを企画しました。
「素晴らしき贈りもの」
2005年9月23日(金)、24日(土)、25日(日)、26日(月)の4日間
会場:東京国際フォーラム ロビーギャラリー B1F
展示作品は、 1.「ギフト・オブ・ライフ作品展(移植を受けた子どもたちの作品)」
2.「あやちゃんの贈り物」
3.「マモ、心のメッセージ」
4.「レシピエントとドナーの手紙」
今回は、骨髄の方たちとの共催で、「ギフト・オブ・ライフ作品展」以外は、白血病のため7歳でなくなった三瓶彩子ちゃんの「あやちゃんの贈り物展」などの骨髄関係の展示で、より大きな催しとなりました。
開会式は、23日の午後2時から当協議会大久保通方理事長が主催者として挨拶し、特別協賛のノバルティスファーマ株式会社より馬場宣行社長にご挨拶いただきました。テープカットは、馬場社長、出展者で肝臓移植者の遠藤史隆君、三瓶彩子ちゃんのお父さん三瓶和義さん、女優の秋野暢子さんと日移協大久保理事長の5名でした。4日間を通じ、約千名の方にご覧いただけ大きな成果を上げることが出来ました。
<ドナーキルトの展示>

「素晴らしき預かりもの」
2005年9月25日(日)、午後1時30分〜午後4時30分
会場:東京国際フォーラム B棟7
今までフォーラムなどの移植関係の催しは、観客の殆どが関係者であったり、関係団体に動員されて参加した人であったりと、一般の人の参加が少なく社会への浸透という意味では、あまり効果が期待できませんでした。今回は、少しでも多くの方に関心を持っていただくような内容を企画しました。
当日午後1時前、ホールから下を見ますとエスカレーターに1階まで人が続いています。そして1階には行列が出来ていました。総数700人近い人が来てくださいました。おそらく100人ぐらいは関係者でしょうが、移植フォーラムにこれだけ一般の方が参加されたのは、初めてのことではないでしょうか。
第一部:トーク・リレー
骨髄レシピエントとドナー
細谷みさ紀さんと栄一さん 鈴木ゆみ子さん
<細谷さんご夫妻>
当然白血病と宣告され、死と直面した時、それを支えた夫の栄一さんとご一緒に、みさ紀さんから骨髄移植をされた体験談と、ご自身も骨髄移植ドナーの登録された榮一さんにその心情をお話しくださいました。
自然体で、気負いも感じられず、骨髄移植のドナー登録をするまでの気持ちを率直にお話しくださいました。
臓器移植者とドナーファミリー
乾 麻里子さん 川島文子さん
肝移植が必要と宣告されてから臓器を戴いていいのだろうか自問自答した日々、刻々と悪化する体調の中で移植を決断し脳死移植を受けるまでの心の葛藤を肝移植を受けたレシピエントの体験談としてお話しくださいました。
ご夫婦共に臓器提供の意思を表示するまでの経緯。そしてご主人が突然、脳死に。臓器提供に至る思いや、その後について。ドナーファミリーとなった素直な気持ちをお話しくださいました。
以上のお話は、メディオバンク通信社のホームページで見ることが出来ます。
http://www.mediobank.com/product_view.html
第二部:狂言と鼎談
狂言:茂山 千作 氏(大蔵流狂言方、人間国宝)
   茂山 千三郎氏(大蔵流狂言方)
鼎談:茂山 千作 氏
   北野 大 氏(淑徳大学教授)
さすがに人間国宝の千作先生。リハーサル来られた時は、少しお足がご不自由かなとお見受けしましたが、舞台に上がると全くそんなことは感じさせず、良く通る声、そして絶対的な存在感。生きるということの素晴らしさを身体で表現されていました。
鼎談でも、いのちの素晴らしさとその継承、そして芸の継承についてお話し戴きました。
<鼎談:茂山千作さんと北野大さん> <狂言福の神を演ずる人間国宝茂山千作さん>
アンケートにも移植医療について初めて考えるきっかけとなったり、今後前向きに考えるようになったなどの回答が殆どで、今までにない大きな成果を上げることが出来たと思います。
費用の問題などもあり、毎年この様な大きなイベントを行なうことは難しいですが、骨髄の方たちとの協力関係も出来き、来年も何らかの形で継続して行きたいと思っています。
今回このイベントにご参加戴いた方々、ご講演戴いた方々、そして様々な形でご協力戴いた方々に心から御礼申し上げます。またいつかご一緒しましょう。


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