臓器移植患者団体連絡会活動報告

臓器移植患者団体連絡会(臓移連)厚生労働大臣へ要望書提出

(2009年8月18日)

 今年の臓器移植患者団体連絡会(臓移連)の活動は、7月まで臓器移植法改正へ向けた活動だけに終始しました。そして7月13日に臓器移植法の改正がなり、その後、ある意味では、虚脱状態に陥ってしまいました。しかし1年後の法施行までそれほどのんびりしているわけにも行かず、また臓器移植委員会での議論の前に取り急ぎ厚生労働大臣に要望書を提出することになりました。

 今まで臓移連では、五団体が揃って要望書を提出し、折衝をしてきましたが、今回は時間がなかったこともありますが、全国腎臓病協議会と全国心臓病の子どもを守る会の二団体とは、合意に至りませんでした。その主要論点は、「臓器提供者を顕彰し、広く国民に臓器提供者への理解が進むよう施策を行なってください。その一環として毎年国をあげて臓器提供者及びその家族を感謝、顕彰する会を開催してください。」この項目でした。上記二団体は、この文言の削除を求めていました。実は、この項目は、2年前の平成19年4月に提出しました要望書から入っており、その後の2回の要望書にも記載されていました。そこで胆道閉鎖症の子どもを守る会、ニューハートクラブと当協議会の三団体としては、臓器移植において最も大切にしなければならないことは、臓器提供者及びそのご家族への敬意と感謝の心であると考えており、この項目を削るわけには行かないと合意し、今回は、三団体のみで要望書を8月18日に提出することにしました。以下に全文を掲載たします。

厚生労働大臣  舛添 要一 様

臓器移植患者団体連絡会

 代表幹事 大久保 通方

胆道閉鎖症の子どもを守る会   代表 竹内 公一

NPO日本移植者協議会 理事長 大久保 通方

ニューハートクラブ   代表  都倉 邦明

臓器移植に関わる要

1.厚生労働省は、充分な予算処置を行い、今回の臓器移植法の改正の内容を広く国民に周知するとともに、臓器移植へ国民の理解を得られるよう、地方自治体と協力し、普及啓発活動をマスメディアをはじめ、あらゆる機会を通じ積極的かつ継続的に行ってください。

2.今回の国会での審議でも臓器提供家族に対する精神的フォローや支援体制の整備、充実の必要性が度々言われていました。国及び日本臓器移植ネットワークは、来年度に臓器提供者家族のケアー・フォローに携わる専門のコーディネーターを各支部に早急に置くとともに、今後大幅な増加が予想される臓器提供に対応するためにも、早急に臓器提供者家族のためのナショナルセンターを設置し、よりきめ細かい対応を出来る体制を整えてください。

また、臓器提供者を顕彰し、広く国民に臓器提供者への理解が進むよう施策を行なってください。

その一環として毎年国をあげて臓器提供者及びその家族を感謝、顕彰する会を開催してください。

3.今回の法改正では、コーディネーターの提供家族への対応が最も重要となります。今後臓器提供数が大幅に増加することが予想されています。現状でもコーディネーターが不足しており、その労働条件が過酷なために、退職するものが後を絶ちません。来年度は、ネットワークコーディネーターを大幅に増員してください。

また各都道府県コーディネーターが都道府県の枠を超え活動できるようにするとともに、日本臓器移植ネットワークコーディネーター、院内コーディネーターと円滑に連携活動できるよう体制整備を行ない、また彼らが安心して十分働ける環境を整えるよう各自治体を強く指導してください。

4.今後大幅に増加する臓器提供に際し、コーディネーターの役割はますます重要となり、またその資質が臓器移植の発展に大きく関わってきます。そのためコーディネーターの教育は、最も重要な課題となります。

コーディネーターの臓器提供家族に対するフォローを含む適正な資質を担保するには、ネットワークコーディネーター、都道府県コーディネーター、院内コーディネーターの一貫した教育が何より重要となります。

新たにこれらのコーディネーターを教育する恒久的な機関を早急に設置してください。

5.我が国の臓器移植普及には、日本臓器移植ネットワークの体制整備と基盤強化が欠かせません。中でも財政の健全化は、特に重要です。ネットワークの活動に見合って、臓器提供と斡旋に関わる費用としてコーディネーター管理料が診療報酬として支払われる仕組みを早急に作ってください。

6.厚生労働省及び日本臓器移植ネットワークでは、腎臓提供を増やすプランを実施すると伺っています。腎臓移植を増やすことは、提供施設の理解を広める意味からも重要です。都道府県と連携し、積極的にドナーアクションプログラムなどを実施し、院内コーディネーターの設置など提供病院の理解、協力をえられるような体制整備を行なうよう指導してください。

7.法律が改正されても、提供者希望者の意思が活かされるとは限りません。救急救命等の提供施設において、臓器提供可能な患者が発生した場合、家族に対し必ず提供意思の有無を確認することを制度化してください。提供意思確認のためのパンフレットを制作し、臓器提供の説明や意思表示の有無の確認に役立てている自治体もあります。全ての自治体で、提供施設が意思表示を確認できる環境を整えてください。

8.4類型以外の施設であっても救急救命医療の体制が充分整い、脳死判定が可能な施設においては、脳死下での提供を認めてください。また国民の信頼を得るために臓器提供施設においては、医療従事者の増員を行うなど救命救急医療の充実を図ってください。

 提供施設の負担を軽減するために脳死判定を支援するチームやドナー管理を行なうチームを派遣する体制を作ってください。また臓器提供希望者の提供可能な施設への搬送も考慮してください。

9.今回改正された法律では、健康保険証や運転免許証の裏面に意思表示欄を設けることが掲げられていますが、積極的に保険者に呼びかけて出来るだけ早く健康保険証または、カードに意思表示欄を設けるよう指導してください。また警察庁と協議し、一日も早く運転免許証の裏面にも意思表示欄を設けてください。

これからは、提供拒否の意思表示把握も重要となります。カードによる意思表示だけでなく、より広く意思表示できる機会を増やす意味からもインターネットによる提供意思の登録を広く国民に周知してください。

10.臓器移植の普及には、正しい情報の伝達が重要です。小・中・高の学校教育に臓器移植を取り上げるように文部科学省に働き掛けてください。

11.現在内部障害者として認定されている心臓、肺、腎臓移植者については、引き続き内部障害者として認定を継続し、肝疾患の患者にも来年度から、内部障害者として認定されると伺っています。肝臓移植者はじめ他の臓器移植者についても身体障害者福祉法を改正し内部障害者として認定してください。

12.昨年の診療報酬改定で腎臓移植について腹腔鏡腎摘出術、ドナー管理料などが新たに健康保険適用されました。このことは大いに評価できます。しかし我国では、献腎移植があまりにも少なく、それを補う意味からも生体腎移植は、腎不全に苦しむ患者にとって希望であり、欠かすことができない医療です。私たちは、この様な大幅な診療報酬の削減が患者へのケアーの低下につながるとともに、移植成績の低下や移植機会の減少につながることを憂慮しています。速やかに、腎臓移植希望者がケアーの低下を被ることなく、今まで通りに移植を受けられるよう対策を講ずるとともに、次回診療報酬改定では、診療報酬を上げるよう要望します。 

13.全ての移植医療に健康保険を適用してください。小腸移植、生体の膵臓移植、膵島移植などは健康保険が適用されていません。一日も早く全ての移植医療に健康保険の適用を認めてください。

14.特定疾患治療研究事業によって原発性胆汁性肝硬変、特発性拡張型心筋症、特発性肺高血圧症などに医療費の助成が行われています。これらの疾病により臓器移植を受けた患者にも、助成が行われています。しかしながら都道府県によっては、移植を受けたことを理由に打ち切りを行なおうとしているところがあります。これらの移植者は、生死の境を乗り越え漸く元気になりましたが、免疫抑制剤の服用を含め生涯にわたり、治療を受け続けなければなりません。今後もこれらの患者が安心して生きて行けるよう医療助成を続けてください。

15.移植者に支給されている障害年金を少なくとも3年間は無条件で継続してください。また移植者の障害認定にあたっては、合併症などを含め総合的に判断することを周知徹底するとともに認定の指針を示してください。総合的に判断するとの条文がありながら、ほとんど合併症は考慮されず、一律に腎移植者の年金が停止となっています。社会保険庁は速やかに調査し、改善をするとともに臓器移植者に関する新たな指針を示してください。

16.海外での治験や治療成績を参考にするなどし、移植医療に関わる薬剤や機器の認可を速やかに行なってください。

17. 免疫抑制薬剤の薬価基準を見直し、引き下げるとともに、移植に関する薬剤を全て保険適用とするようにしてください。


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